SoCには、Cortex-A76を採用したBroadComのBCM2712が搭載されました。Cortex-A76といえば2018年頃のコアですが、MacBook2015やIntelのSkylake世代に近い性能とされ、現在でも日常的な用途では不足がない性能をRaspberry Pi 5で使えるようになったことは大きな進化と言えます。
Raspberry Pi 1 Model B+以降微動だにしなかったCSI・DSIポートの配置が変更されました。CSIポートがあった位置に2つ並ぶ形で配置され、デュアルのCSI・DSI共通ポートとして利用できるようになりました。つまり、これまでCompute Moduleでしかできなかったデュアルカメラ・デュアルDSIディスプレイがRaspberry Pi 5で扱えるようになったことを意味します。
なお、ポート形状はCompute Module、Raspberry Pi Zeroと同じ小さいタイプのケーブルになります。CSIケーブルはZeroと同じものが利用できますが、DSIケーブルはCSIケーブルと配線が異る点に注意が必要です。今回のリリースに合わせてオフィシャルのケーブルアクセサリが発売されたため、利用の際にはケーブルの用意も検討すると良いでしょう。
LANポートが再び移動。USB3.0はより高速に。
LANポートが3B+以前と同様、HDMIポート側に移動しました。PoE用のピンも移動したため、過去に発売されたPoE HATとの互換性が失われています。こちらも、Raspberry Pi 5のPoE HATが今後発売される予定です。
USB3.0ポートの配置はRaspberry Pi 4と変わらず真ん中に2ポート配置されています。Raspberry PiではVL805 USBハブチップによる分配でしたが、今回は2つの独立したコントローラーから提供されているため、同時にUSB3.0の帯域を使うことが可能になりました。
独立したUARTポート
UARTポートがGPIOから独立して、HDMI0とHDMI1の間に配置されました。このポートはRaspberry Pi Debug Probeを接続して、115200 baud rateで使うことができます。また、OS起動前のDiagもここから取得できるようになりました。
「27W USB-C PD Power Supply」は、Power Deliveryに対応したRaspberry Pi 5向けの電源アダプターです。Raspberry Pi 5のUSBポートで電源供給できる合計容量はデフォルトでは600mAですが、USB PD電源を使用することで自動で1.6Aに増強されます。また、電源アダプターは9V3A、12V2.25A、15V1.8Aの出力にも対応します。
「Raspberry Pi 5 Case」は、新しい専用ケースです。可変速ファンを搭載しており、Raspberry Pi 5のファン専用コネクターに接続することで使用できます。カラーは赤・白の他に、グレーの販売も予定されています。
Raspberry Pi (tradong) Ltd.は3月9日、Raspberry Pi Global Shutter Cameraを発表しました。
Raspberry Pi Global Shutter Cameraは、Sony IMX296センサーを使用した1600万画素のグローバルシャッターカメラで、通常のローリングシャッターカメラと比較して、高速で動作する物体を歪みなく撮影するのに向いています。レンズはRaspberry Pi HQ Cameraと同じくCマウントおよびCSマウント(付属のC-CSアダプタで対応)の各レンズが利用可能です。
Raspberry Pi Global Shutter Cameraの価格は50ドルで、各認定リセーラーを通じて販売されます。日本ではKSY、スイッチサイエンスでそれぞれ販売が開始しています。
早速試していく前に、Camera Module 3を使用するには、最新のRaspberry Pi OS Bullseyeと、libcameraによるカメラ環境が必要な点に注意してください。
libcameraは、Raspberry Pi OS Bullseyeで利用が開始されて、旧来のraspistillやraspividコマンドなど(Legacy camera stackなどと呼ばれています)が置き換えられました。ただし、Picamera2 Pythonライブラリの提供が遅れたなどの理由により、旧来のコマンド等を使用するための方法が現在も提供されています。注意が必要なのは、この旧来のほうでは新しいカメラモジュールは利用できないということですね。
Camera Module 3リリース以前に構築されたRaspberry Pi OS Bullseye環境がある場合は、OSのアップグレードをしておきましょう。また、Picamera2 Pythonライブラリも合わせて触ってみたい場合には、以下のコマンドでインストールできます。
Camera Module 3はオートフォーカスやHDR撮影に対応した12メガピクセルのSONY IMX708イメージセンサーを採用したカメラモジュールです。従来の通常モデルとNoIRモデルに加えて、それぞれに広視野角モデルが追加され、4種類のカメラモジュールが販売されます。通常の視野角のモデルは各25ドル、広視野角モデルは各35ドルで、認定リセラーを通じて販売されます。
akkie@raspberrypi:~ $ curl http://192.168.2.21/long -o /dev/null
% Total % Received % Xferd Average Speed Time Time Time Current
Dload Upload Total Spent Left Speed
100 500k 0 500k 0 0 43708 0 --:--:-- 0:00:11 --:--:-- 44116
% Total % Received % Xferd Average Speed Time Time Time Current
Dload Upload Total Spent Left Speed
100 10240 100 10239 0 0 1424 0 0:00:07 0:00:07 --:--:-- 1467
Raspberry Pi Pico Wは、2021年1月に発売したRaspberry Pi Picoにワイヤレス機能を追加したモデルです。Raspberry Pi Picoと同様、Raspberry Piが設計したRP2040チップが使用されており、133MHzのARM Cortex-M0+デュアルコア、256KB RAM、30個のGPIO、様々なインターフェースを搭載します。また、コードとデータ用の2MBのオンボードQSPIフラッシュメモリを搭載しています。
Raspberry Pi Pico Wのワイヤレス機能には、Infineon CYW43439チップを採用しており、無線LANはIEEE802.11 b/g/nを、Bluetoothは5.2をサポートします。なお、リリース時点では無線LANのみがサポートされます。Raspberry Pi Pico Wは6ドルで販売されます。
Raspberry Pi Pico HおよびPico WHは、GPIOにヘッダーと、JTAGにコネクタがあらかじめ実装されたモデルです。自分でヘッダーを実装する必要がなく、簡単にプロジェクトに使用することが可能になります。Raspberry Pi Pico Hは5ドル、Raspberry Pi Pico Hは7ドルで販売されます。
基板表面をもう少し見ます。SoCは機能的にはRaspberry Pi 3のBCM2837と同等のCortex-53ですが、RAMを統合して1パッケージ(System-in-Package)にした「RP3A0」パッケージとなっています。ちなみに、SoCの2行目の2041は、Raspberry Pi Picoで使われるRP2040の続番ではなく、製造された年と週番(2020年41週)がたまたまそれっぽかっただけとのことです。我々の手元に届く頃には2141とか2205とかになっているんでしょうね。
Zero 2 WはRaspberry Pi 3シリーズと同じCortex-A53 CPUを採用しており、4コア・64-bit対応の点で3B・3A+と共通です。周波数に関しては少し抑えめの1GHzとなっていますが、Zero Wとの性能差を考えれば3B・3A+より多少遅いことなどもはや誤差と言えそうです。
Raspberry Pi Zero 2 Wは、Raspberry Pi 3シリーズで採用されたCortex-A53を搭載した64-bit対応の4コア 1GHzのBCM2710A1 CPUを採用し、Raspberry Pi Zero Wに比べて大幅に性能が向上しました。また、DRAMを統合したSiP(System-in-Package)を採用し、「RP3A0」パッケージとして本体上に搭載されます。また、発熱にも配慮されており、高負荷時でもサーマルスロットリングせずに安定した動作が可能としています。