Raspberry Pi Camera Module 3を触ってみる

あっきぃです。昨日発売されたRaspberry Pi Camera Module 3のサンプルがおおたさんから送られてきましたので、レポートをしていきます。リリース情報の概要は昨日の記事を確認してください。

形状を見る

中央のケーブルがついたものがCamera Module 3です。左が初代、右が2代目、上は参考までにArduicamの16MPオートフォーカスカメラです。基板サイズは2代目と変わりありませんが、カメラセンサー自体は大きくなっているため、Raspberry Pi公式ブログのコメントでもやり取りがあるように、公式のPiZeroケースとは互換がないようです。

続いて裏面。まあ、こちらを見てもあまり面白みはないと言えばないのですが、Camera Module 3と2代目とで意外と回路デザインが変わっていないのは面白いですね。

最新のRaspberry Pi OSとlibcamera環境が必要

早速試していく前に、Camera Module 3を使用するには、最新のRaspberry Pi OS Bullseyeと、libcameraによるカメラ環境が必要な点に注意してください。

libcameraは、Raspberry Pi OS Bullseyeで利用が開始されて、旧来のraspistillやraspividコマンドなど(Legacy camera stackなどと呼ばれています)が置き換えられました。ただし、Picamera2 Pythonライブラリの提供が遅れたなどの理由により、旧来のコマンド等を使用するための方法が現在も提供されています。注意が必要なのは、この旧来のほうでは新しいカメラモジュールは利用できないということですね。

Camera Module 3リリース以前に構築されたRaspberry Pi OS Bullseye環境がある場合は、OSのアップグレードをしておきましょう。また、Picamera2 Pythonライブラリも合わせて触ってみたい場合には、以下のコマンドでインストールできます。

$ sudo apt install python3-picamera2

オートフォーカスを試す

まずはlibcamera-helloコマンドで画面に出しっぱなしにして、動きを見てみましょう。コマンドに–autofocus-modeが追加されており、これを使ってオートフォーカスを有効にできます。

$ libcamera-hello -t 0 --autofocus-mode continuous

この状態でカメラに遠くのものを映させたり、手で遮ってみたりすると、フォーカスを自動で合わせてくれます。手元のスマホなら当然の動きですが、Raspberry Piでも手軽にできるようになったのは感動ですね。

天井です。

なにもない天井をきれいに映しているカメラにRaspberry Pi Picoをかざすと、Pico……よりも手にピントが合いましたね。

指のシワが鮮明
Picoをより近づけても指のほうが鮮明

オートフォーカス中のカメラモジュールはこのようにレンズがモーターによって上下しています。

手をかざすとレンズが上下に動く

写真を撮影するときはlibcamera-stillコマンドで撮影します。こちらもオートフォーカスに関するオプションが追加されているため、それらを使用可能です。

$ libcamera-still -o af1.jpg --autofocus-mode continuous

マスコットを撮影してみました。

「有隣堂しか知らない世界」からブッコローのキーチェーンと回転寿司皿。どちらもSTORY STORY YOKOHAMAで買えます

ここで、ぬいぐるみを避けてもう一枚撮影すると、背景に使っていたダンボールにピントが合って、「こわれもの」の文字が鮮明になりましたね。

皿とダンボールだけ

HDRモードもすごい

もうひとつ、HDRモードも注目すべき機能です。異なる露光時間で複数同時に露光をして、センサーがいい感じに合成をしてくれるものです。これもスマホでは普通に使える機能ではありますが、Raspberry Piで手軽に扱えるようになりました。

まずはHDRが無効の状態です。室内で飼育中のメダカですが、日当たりが良いので室内で撮影すると逆光に近い感じになります。

奥の水槽と別に、手前の鉢にも生まれた時期が違うメダカがいます。

HDRモードを有効にするには、–hdrオプションを付け足すだけです。

$ libcamera-hello -t 0 --autofocus-mode continuous --hdr 1

$ libcamera-still -o hdr.jpg --autofocus-mode continuous --hdr 1

HDRを有効にして撮影すると以下のようになります。水槽のメダカが明るくなり、手前の鉢も明るく写って見えるようになりました。

全体的に明るくなりました

なお、HDRモードを有効にした場合は、解像度が1/4になる点には注意です。上記画像も、4608 × 2592ピクセルから2304 × 1296ピクセルになっており、1/4ピクセルになっていることが確認できました。上の画像を新しいタブで開いて比較してみてください。

ちなみに撮影風景はこちら。比較で使用したArducamのカメラモジュールから奪い取ったカメラメースと、100円ショップの三脚を組み合わせています。

購入するには

国内ではすでに認定リセーラーのKSYさんが発売を開始している他、スイッチサイエンスさんも販売に向けて準備中のようです。

KSYさん

個人的に広角版が気になったのでイギリスのPimoroniで注文をしましたが、KSYさんが販売開始していたのを見落としていました……。私が広角版を触れるのは再来週くらいになりそうです。しくしく。

また、NOIR版についてはPimoroniを含めてまだどこも入荷していないようなので、こちらは少し待つ必要がありそうです。
(1/16追記)KSYさんでNOIR版の取り扱いが開始したようです。 https://raspberry-pi.ksyic.com/main/index/pdp.id/908,909,910,911/

まとめ

Raspberry Piの新しいCamera Moduleの簡単なテストレポートでした。近年のスマホならどれも当たり前になって久しい機能ですが、当たり前になって久しいことで、枯れたカメラセンサーもRaspberry Piのカメラモジュールとして採用できる価格にまでなったと言えます(これまでのRaspberry Pi製品に組み込まれた各モジュールにも言えることではありますが)。

ちなみに、Sony IMX708センサーは、ググってみるとOPPO Find X2、OPPO Reno4 Proなど2年半〜3年前のスマートフォンに採用されていたようです。こうして見ると枯れたと言うにはまだ早い気もしますが、こうしてRaspberry Piで触って遊べるようになったことは大歓迎ですね。

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